デンマークのトマソン選手の話


某消滅済みサイト"裏ノ裏ハ表ナリ"より
例の7月10日ネタ。
33コマ予定。


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   デンマーク(Denmark)



 皆さんはこの国をご存知ですか?
 まずは簡単にデンマークという国の紹介をしましょう。

  デンマーク・・・ 正式国名「デンマーク王国」
           (元首マルグレーテ2世女王)

  _______ 北欧の南端に位置し、
 |  ||        | 約4.3万km2(九州とほぼ同じ)、
 |―┘└――――| 首都はコペンハーゲン、
 |―┐┌――――| 人口は約531万人(99年調査)、
 |  ||        | いたって小さな国です。
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 人種は北方ゲルマン民族。
 言語は通常、デンマーク語ながら英語でもほぼ通じます。

 デンマークをはじめとした北欧の国々は異様なほどに
 税金が高いです。
 日本でいう消費税(付加価値税)が最低20%。
 これに『サービス税』なんてもの
 も含めるとたいてい30%〜40%近くの税金が、
 買い物の際に課税されます。

 その代わり、これらの国は福祉の充実度が
 世界トップレベル。
 税金が高いのは充実した福祉を支えるためなのでしょう。

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デンマークのサッカーの歴史は古い(1889年リーグ設立)。
しかし、デンマークのサッカーが世界に躍進したのは、
つい最近のことである(プロ化1978年)。

欧州選手権に84年初出場、
ワールドカップ初出場は86年(メキシコ大会)。
この80年代から、デンマークのサッカーは
世界に認められはじめた。

このころから世界のサッカーファンは、彼らのことをその躍進
ぶりとスタイルからダニッシュ・ダイナマイト(Danish Dynamite)
と呼びはじめたのである。
Danish_Dynamite!!


そんな彼らが今大会、
2002年日韓ワールドカップに出場することとなった。
2大会連続、3回目の出場である。

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そして、このデンマークが今大会のキャンプ地を和歌山県に決めた。

和歌山県も例に漏れず他の立候補地と同様に誘致に必死であった。
デンマークへ何度も訪れた。

この苦労が実り和歌山県はキャンプ地決定という知らせを受けた。
この一報に和歌山県の関係者は涙したという。

デンマークが
和歌山に決めた理由は


   ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   ( ´_ゝ`) <  日本のほぼ中心地であり、関空に近いから
   (    ) 0 \____________________


だった。

   (´_`) 。o ○( それだけ・・・?!

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デンマーク、と言っても、どんな国?と普通は思うだろう。
「どこにあるの?」「デンマークのサッカー選手で有名な人は?」と・・・。

デンマークという国の存在自体は知っていても
どんな国民性なのか?どのような人種なのか?普通は誰も知らないだろう。

それは和歌山県民のほとんども同じだった。
だから、和歌山の街中ではこんな会話が交わされたという。
‐―――――――――――┐  ┌――――――――――――――――――
今度の ワールドカップで   |  |それは知ってるけど・・・誰か有名な人いる
デンマークって.国が来る   |  |の?イングランドのベッカムとかイタリアの
らしいけど.知ってた?    |  |男前集団みたいに有名な人いるの?
‐――――v‐――――――┘  └――v―――――――――――――――‐
    ∧_∧             ∧_∧
    ( ・∀・)っ             (´∀` )
    (    ソ            (     )
    | | |                | | |
    (__)_)            (_(__)
______∧___________
 知らん・・・。               |
                           |
 けど世界で有名なんやったら   |
 一度は 練習見に行かん?       |

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デンマークの練習を訪れた人は『この手の会話』がきっかけとなった人たち
ばかりであった。最初はいわゆる『野次馬』的な人が多かったのである。
  ワイワイ  ガヤガヤ  ワイワイ ガヤガヤ
gallary01.jpg
この最初の見学者は数百人程度であった。

しかしこの数字が日々増えていった。

     ワイワイ  ガヤガヤ  ワイワイ ガヤガヤ  ワイワイ  ガヤガヤ
gallery02.jpg
初日はわずか数百人だった見学者が翌日には2000人、
その翌日には2500人、そのまた翌日には3000人が訪れた。

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この数字が増えた理由には以下のことが一番大きかった。

ワールドカップ出場国のキャンプ地での練習というものは
非公式・非公開が通例なのだ(イングランド、伊、西、ブラジルといった
強豪国はほとんど非公開でした)が、デンマークは違ったのである。

デンマークは、練習初日から全ての練習を公開した。

さらに練習後には見学に来ていた地元サッカー少年たちを招きいれ
一緒にミニサッカーを行ったりもした。
   ∧_∧              ∧_∧
   ( ´_ゝ`)   ∩_∩       (´<_`  )  /■ヾ
   / つ ノ   (´∀`*)       (    つ (´∀` )
   ) ノ、 )    (っ  つ      ( ((_ ヾ  (   つ
  (_) し'   、○_ノヾ_) ))    (__) `J   し'ヾ_) ))
""゙゙゙"""'''''''""""゙゙゙゙゙"""゙゙゙゙゙゙""""''''""""゙゙゙゙"""'''''"""゙゙゙゙゙゙"""""""""

cueue01.jpg
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そのため、デンマークというチームに対し・・・

―――――――‐┐ |\_/\∧/\_/\∧/\_/\/|
練習どうだった?|  > めちゃめちゃフレンドリーで   >
            |<  気さくな人たちばかりやで!  <
―――v――――┘ |/∨\_/\/∨\/\_/\_/\|
   ∩_∩           ∧_∧  ∧_∧
  ( ´ー`)        (・∀・ ) (´∀` )
  (   )        と    つと    つ

という評判が口コミで相当広がったともいう。

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ある記者が、デンマークのオルセン監督に聞いた〔英語〕。
     ┌――――――――――――――――――――――‐
     |他国は、練習を公開しないで試合に備えています。
     |デンマークは公開でいいのですか?
     └――――――v――――――――――――――――
Olsen01

オルセン監督はこう答えた〔英語〕。
‐―――――――――――――――――――――――――┐
  我々の強さは.練習を秘密にしたところで変わらない。   |
 絶対的な自信をもって試合にのぞむだけだ。         |
――――――v―――――――――――――――――――┘
Olsen02

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このオルセン監督には、来日早々にこんなエピソードもあった。

デンマークチームが来日し、  _             ..::::..::::::::::
                    /||           ..::::..::::::::::::::
            / ̄ヾ___/ :||          ..::::..::::::::::::::::::
            (    ―=,ノ=―       ..::::..:::::::::::::::::::::
     ヾ――――┬'┬‐'、___,,イ┬―――'   ..::::..:::::::::::::::::::::::::::
          (_(0)(0)   (_(0)(0)    キィィン・・・..::::..::::::::::::::.

ホテル入りした初日のこと。

ホテルでの歓迎セレモニーを受けた後
再度、宿泊先のホテルの支配人と料理担当のコック長が
監督の部屋へ挨拶に訪れた。

    |         (´⌒⌒`)
コンコン ∧_∧   |____|
    |(´∀`;,)  (・∀・ ;)
  ((ど〈V〉‐ )、.( 「: ̄ )

-------------------------------------------------------------------

彼ら、支配人とコック長には一つ聞いておきたいことがあった
彼らには一つ『心配のタネ』があったのである。
   ┌――――――――――――┐
   | How nice of you to come ! |
   └―――‐v――――――――┘
  ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧
  (丶´_ゝ`(    )(`    )
  (  つと(    ) (     )

それは食事の問題であった。

ホテル側も選手たちには万全の状態で試合に臨んでほしかった。
食事が口に合わない・・・それが原因ということは避けたかった。

しかし他国の宿泊先ホテルに連絡をとったところ、食事でかなりもめ、
文句を言われたらしかった。
――――――――――――――――――――――――――――┐
    口に合わない !  母国の材料で調理してくれ!etc.         |
――v――v――――v――――v―――v――v―――v――――‐┘
claim.jpg

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そこで、支配人は通訳を介して監督に聞いてみた。
――――――――――――――――――――――――┐
  食事で何かご要望はございませんか?            |
――――――‐v―――――――――――――――――┘
        ∧_∧   ∧_∧
         ( ´∀`;)   (;・∀・ )
        ( 〈V〉- )  ( |: ̄ )

オルセン監督は答えた。
――――――――――――――――――――――――┐
一切お任せします。                       |
そちらが用意される料理を我々はご馳走になります。     |
―‐y――――――――――――――――――――――┘
         !    !
  ∧_∧  ∧_∧  ∧_∧
)(丶´_ゝ`)(, ;・∀)(´∀`; )
)(     (   / ̄ ̄|  / ̄ ̄|
 ̄ ̄ ̄ ̄/ ̄ ̄ : : :::::::| ̄ : :::::::::|
-------------------------------------------------------------------

この言葉に驚いた支配人とコック長。
‐―――――――――――――――――――――――┐
  いや・・やはり母国デンマークの食事の方          |
  がいいんじゃないでしょうか?                 |
‐――――――――┬―v――v――――――――――┘
和歌山をキャンプ地. |
に決めたときから.  |
食事もお任せしよう、|
と私と選手たちは.  |
.言っていた。       |
―――y―――――┘
∧_∧  ∧_∧  ∧_∧  ∧_∧
  ´∀`)(丶´_ゝ`)(・;   )(`;   )
 通訳) (    ) (   / ̄ ̄|  / ̄ ̄|
 ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄/ ̄ ̄ ::::::::::::! ̄ : :::::::::!
__∧________________
選手も理解している。          |
全てをあなたたちにお任せします 。 |
-------------------------------------------------------------------

それでも不安が晴れない支配人がこう続けたところ、
――――――――――――――――――――――――――┐
  あの〜〜他の国とかのホテルにお聞きすると・・・         |
 食事はやはり母国のほうが好まれると聞いたものでして・・・。|
――――――‐v―――――――――――――――――――┘
        ∧_∧   ∧_∧
         ( ´∀`;)   (;・∀・ )
        ( 〈V〉- )  ( |: ̄ )

オルセン監督はズバリ言った。
‐―――――――――――――――┐
  他国は他国、我々は我々です。   |
―y――――――――――――――┘
                           この言葉に支配人は
  ∧_∧  ∧_∧  ∧_∧         「ホッとした。滞在中は
)(丶´_ゝ`)(, ;・∀)(´∀`; )  ホッ・・・。  無事に過ごせていただ
)(     (   / ̄ ̄|  / ̄ ̄|        けると思った」そうだ。
 ̄ ̄ ̄ ̄/ ̄ ̄ : : :::::::| ̄ : :::::::::|
-------------------------------------------------------------------

―――――――――――――――――――┐
我々は料理をあなたに全てお任せします。  |
よろしくお願いします。                 |
――‐y――――――――――――――――┘
       コチラコソ
. ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧
)(、´_ゝ`,)(・;   )(`;   )
)(     (   / ̄ ̄|  / ̄ ̄|
 ̄ ̄ ̄ ̄/ ̄ ̄ : : :::::::| ̄ : :::::::::|
__∧_________________
                            \
ところで、 和歌山で有名な食材は何ですか ? |
‐―――――――――――――――――――┘

コック長は質問の意図がわからなかったが、
‐――――――――――――――――――――――――――――┐
 和歌山では魚が有名です。 カツオという魚が特に有名です・・・ 。  |
――――――――――――v――――――――――――――――┘
                 ?
        ∧_∧   ∧_∧
         ( ´∀`;)   (;・∀・ )        と答えた。
        ( 〈V〉- )  ( |: ̄ )
-------------------------------------------------------------------

するとオルセン監督は微笑みながらコック長に言った。
――――――――――――――――――――――――――――┐
それでは、そのおいしいカツオを我々に食べさせてください。     |
あなたが腕をふるって、おいしいカツオを選手たちに             |
食べさせてやってください。                         |
―――‐y――――――――――――――――――――――――┘
      ハ、ハイ!
. ∧___∧ ∧_∧ ∧_∧
)(、´、ゝ`)(・;   )(`;   )                          ノ
)(    ) (    / ̄ ̄|  / ̄ ̄|                       )
 ̄ ̄ ̄ ̄/ ̄ ̄ : ::::::::::| ̄ : :::::::::|                       ノ
ー―――○―――――――――――――――――――――――''
cook01.jpg

-------------------------------------------------------------------
cook02.jpg

最初の食事を迎えた時、ある選手が通訳に聞いた。
――――――――――――――――――――――――――┐
デンマークでは 食事するとき 神への祈り を する のだが     |
日本では食事始める時に何かするんですか?            |
――――‐v―――――――――――――――――――――┘
   彡彡'ミ      ∧_∧
  ( ´_ゝ`)    (`    )
  (    つ   ( 通訳)

デンマークは国民の9割がプロテスタントumah!.jpgである(福音ルーテル教)。
神への祈りを終えてから食事を始める。
この選手は日本ではこれの代わりに何かするのか?と聞きたかったのである。
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答える通訳。
―――――――――――――――――――――――――┐
日本でもキリスト教の信者は神に祈ってから食べるけど    |
大抵は手を合わせて『いただきます。』と言ってから       |
食べます。                                |
―――――――‐v―――――――――――――――――┘
   彡彡'ミ      ∧_∧
  ( ´_ゝ`)    (`    )
  (    つ   ( 通訳)

すると彼は・・・
―――――――┐
  こうやるの ? |
―――‐v―――┘
   彡彡'ミ      ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ( ´_ゝ`)    (`    ) < そうそう!その両手を
  ( ー'゙ー)     ( 通訳)  | もう少し上に上げて。
-------------------------------------------------------------------

彼はその姿のまま、コック長の方へ向き頭を下げた。

                          (´⌒⌒`)
   彡彡ミ                  |____|
 (((   ´_ゝ∩                Σ (・∀・ *)
  (      /                  (「: ̄ )

それを見ていた他の選手たちも彼にならい、手を顔の前で合わせた。

この時から、食事のたびに手を合わせる選手たち。

   イタダキマス  イタダキマス イタダキマス イタダキマス イタガキマス イタダキマス
   ∧_∧   ∧_∧   ∧_∧  ∧_∧  ∧_∧ ∧_∧     ノ
  ( ´_ゝ人  ( ´_ゝ人  ( ´_ゝ人 ( ´_ゝ人  ( ´_ゝ人( ´_ゝ人   ノ
ー―――○――――――――――――――――――――――― '"
cook03.jpg
-------------------------------------------------------------------

この最初に手を合わせた選手の名は・・・

        彡彡'ミ
       ( ´_ゝ`)
       (    )

 ヨン・ダール・トマソン(Jon Dahl Tomasson)といった。
  /FW/MF。代表では9番。
  1976年8月29日ロスキルデ(デンマーク)生まれ・182cm・74kg

 このトマソン選手。今大会、デンマークを決勝
トーナメントに進出させた立役者である。

 今大会前まで、オランダのフェイエノールト・ロッテルダムに
所属し(現在ACミラン在籍)、日本代表の小野選手とチームメイトで
あったため日本でもある程度名前を知られていた選手である。
追記:2003年のトヨタカップでも得点
追記の追記:2005年7月、ミランからシュツットガルトへの完全移籍が決定。


 彼は少し神経質な面を持ちあわせており、実際酷評する向きもあるが、
非常に心優しい青年だ。
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あるサイン・握手会でのことである。

デンマークというチームは前述したように
練習を公開した。練習後は地元サッカー少年たちとミニサッカーを行い、
握手会、サイン会もたびたび行った。

あの日も、いつものごとくサイン・握手会が行われた。

気さくなデンマークの選手たちを和歌山県民も好きになった。
選手たちのサインを求め長蛇の列が出来上がっていた。
気軽にサインをするデンマーク選手たち。
cueue02.jpg
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もちろんトマソンもその中にいた。
そのトマソンの前にある少年が立った。

  彡彡'ミ     ∧_∧
 ( ´_ゝ`)∧∧ ミ   彡
 (φ   (`* ,,) (   )
 | | {{( U,,)}} |  | |
 (__)__)し`J (__)__)

彼はトマソンの前に立ちつつも・・・少しモジモジしていた。

後ろに立っていた母親らしき人が彼を促す。
トマソンも通訳を通じ「どうしたの?」と彼に聞いた。
   ?
  彡彡'ミ     ,∧_∧     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ( ´_ゝ`)∧∧ミ   彡 <  早くしなさい。
 (φ   (`*  と    )))   \______
  |   |  |と  ) |  | |
 (__)__)し`J (__)__)
-------------------------------------------------------------------

意を決した少年はポケットから一枚の紙切れを出し、
トマソン選手に渡した。

  彡彡'ミ     ,∧_∧
 ( ´_ゝ`)∧∧ミ   彡
 (φ   (`*  と    )))
  |サッ(( ーと  ) |  | |
 (__)__)し`J (__)__)

 その紙切れには英語で・・・
letter.jpg

その手紙に通訳も・・・その場にいた記者も驚いた。
言葉が出なかった・・・。
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しかし、トマソン選手はニッコリと微笑み少年に・・・
「それなら君は手話はできますか?」と・・・

  彡彡'ミ
 ( ´、ゝ`)       手 話 で 語りかけた。
(((_つ と)))      ~~~~~

boy_and_mother.jpg

再度聞くトマソン。

  彡彡'ミ
 ( ´、ゝ`)      「手話はわかりませんか?」
(((_つ と)))
-------------------------------------------------------------------

ミスタートマソン、手話は  |
言語と同じで 各国で   |
違うんですよ〔英語〕.    |
―――y―――――――┘
press_and_Tomasson01.jpg

手話を万国共通と思う人が多いのだが、
手話は国によって違う、ましてや日本国内でも地方によって違う。


トマソン選手は通訳にこう言った。
――――――――――――――――――――――――┐
ボクは彼と紙で 、文字を通して話をしたいのですが     |
手伝ってください 。それと 、後ろの人たちにも彼と      |
話す時間をボクにください と 言っておいてください 。     |
――――――――‐v―――――――――――――――┘
press_and_Tomasson02.jpg
-------------------------------------------------------------------

後ろで順番を待つ人たちは何も文句を言わなかった・・・一言も・・・。

people.jpg


そして通訳を介し、少年とトマソンの『会話』が始まった。

press_and_Tomasson03.jpg

       「( ´、ゝ`) 君はサッカーが好きですか?」

       「はい。大好きです。 boy01.jpg

       「( ´、ゝ`) そうですか。デンマークを応援してくださいね。」

       「はい。あの聞いていいですか? boy01.jpg

       「( ´、ゝ`) いいですよ。何でも聞いてください。」

       「トマソン選手はどうして手話ができるんですか?
        正直、ビックリしました。 boy01.jpg
-------------------------------------------------------------------

この少年の質問に彼は答える。

  彡彡'ミ   「ボクにも君と同じ試練を持っている姉がいます。
 ( ´、ゝ`)   その彼女のためにボクは手話を覚えたんですよ。」
 (_つ と)
                       
その彼の言葉をじっくりと読む少年。 boy02.jpg

そしてトマソンは少年に言った。

  彡彡'ミ   「君の試練は君にとって辛いことだと思いますが、
 ( ´、ゝ`)   君と同じように君の家族も、その試練を共有しています。
 (_つ と)    君は一人ぼっちじゃないという事を理解していますか?」

                         
この言葉に黙ってうなずく少年。    boy03.jpg

         「わかっているなら、オーケー!
  彡彡'ミ    誰にも辛いことはあります。君にもボクにも
 ( ´、ゝ`)   そして君のお母さんにも辛いことはあるのです。
 (_つ と)    それを乗り越える勇気を持ってください。」
-------------------------------------------------------------------

そして、トマソンは最後に少年にこう言った。

  彡彡'ミ    「ボクは今大会で1点は必ず獲ります。
 ( ´、ゝ`)    その姿を見て、君がこれからの人生を
 (_9   )    頑張れるようにボクは祈っておきます。」

この言葉に
            ∧∧
           (´∀`*) ニコ!

この少年は初めて笑顔を見せた。

            ∧∧   「はい!応援しますから、
           (´∀`*)   頑張ってください。」

そして、トマソン選手にサインをもらい、

彡彡'ミ
(  ´、ゝ ∧∧
(   づと(∀`*)、

少年と母親は、その場をあとにした。
-------------------------------------------------------------------

母親は、取材する記者に向かって

press_and_mother.jpg

と、涙を流し、笑いながら言った・・・。



そして、このトマソン・・・少年との約束を守り、
試合での得点を決めた。

1点どころか、彼は4得点という大活躍だった。




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1次リーグ、フランスという前回覇者と同じA組だったデンマーク。
その試合会場が韓国であろうとも彼ら和歌山県民は応援に駆けつけた。

\ ガンガレー デンマーク!! ヾ ダニッシュダイナマイト!! ガンガレー !
cheering.jpg

オルセン監督は言った。
               / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      ∧_∧   / 試合会場が韓国であっても、和歌山の応援
      (、´、ゝ`) <   はわかった。あれが我々の力になった。
      (     )   \____________________

結局デンマークは2勝1分け(勝ち点7)。
見事A組1位通過を決めたのである。
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そして、決勝トーナメント1回戦。
場所は新潟スタジアム・ビッグスワン、
対戦相手はあのベッカム率いるイングランドであった。

スタンドからは「ベッカム!!!!」という声が至るところから響いていた。
http://fifaworldcup.yahoo.com/jp/020616/2/cx8.html


ここでも和歌山県民はデンマークを応援し続けた。

♪♪ダニッシュダイナマイト ♪♪ベカ‐ム何する者ぞ ♪♪俄かEnglandファンを黙らせろ
dance01.jpg

♪♪頼むぞデンマーク     ・・・アア・・・        ・・・もうだめぽ(前半で0-3)。
dance02.jpg

・・・和歌山県民の想いは通じなかった。
デンマークはイングランドに0−3という予想外のスコアで敗れてしまった。
その日、和歌山県にも雨が降ったという。

涙雨だったのかもしれない・・・。
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負けはしたが、和歌山県民はデンマークというチームを誇りに思っていた。

「よく頑張った!」「後は快く母国に帰ってもらおう!」と
『デンマークお疲れさま!会』なるものが宿泊先のホテルで行われた。
会場にはあふれんばかりの県民が駆けつけた。

その催しにオルセン監督以下選手たちも全員出席した。
あのトマソンもその場にいた。

そこでトマソンは『あの少年』を見つけた。
例によってトマソンは少年に対し『紙』で語りかけた。

press_and_Tomasson03.jpg

       「( ´、ゝ`) せっかく応援してくれたのに負けてゴメンね。」

       「お疲れ様でした。負けたけどカッコよかったです。
        それに約束どおり点を獲ってくれたからボクは
        嬉しかったです。 (´∀`*) 」

       「( ´、ゝ`) ありがとう。」
-------------------------------------------------------------------

そして、この少年にトマソンは言った。

       「( ´、ゝ`) ボクから君に言える言葉はこれが最後です。
        よく聞いてください。」

       「はい。 (´∀`*)」

       「( ´、ゝ`) 君には前にも言ったとおり、試練が与えられている。
        それは神様が決めたことであり、今からは変えられない。
        ボクが言いたいことわかりますか?」

       「はい。 (´∀`*)」

       「( ´、ゝ`) 神様は君に試練を与えたけど、
        君にも必ずゴールを決めるチャンスをくれるはずです・・・。
        そのチャンスを君は逃さず、ちゃんとゴールを決めてください。」

少年はこの言葉に満面の笑みを浮かべて

       ゙  ∧∧  "
      -  (´∀`*)  - 「はい。」
と答えた。 "      ゛
-------------------------------------------------------------------

そして2人は・・・
          「( ´、ゝ`)   「 (´∀`*)
           さようなら」   頑張って」
という言葉を
それぞれ残し別れを告げた。


最後に2人は仲良く写真におさまった。
 ┌――――――――――――┐
 |┌――――――――――┐|
 ||   彡彡'ミ         ||
 ||  ( ´、ゝ` ) ∧ ∧    ||飛びっきりの笑顔を浮かべ
 ||  (    )( ´∀` )    ||ファインダーにおさまる2人。
 ||  | | |(     )   ||
 ||  (__I__) し''` J   ||
 |└――――――――――┘|
 └――――――――――――┘
この写真は少年の宝物になることだろう。

トマソンに出会ったことによって少年は『前へ進む』に違いない・・・。


小さな少年、心優しきトマソンに
これからも栄光あれ。。。

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